「力を抜け」と言われても抜けない人へ|脱力できない本当の理由

「力を抜け」と言われても抜けない人へ|脱力できない本当の理由 脱力・力み

練習のたびに「力を抜いて」と言われるのに、いざ振ってみると肩にぐっと力が入ってしまう。そういう経験、一度はあるのではないでしょうか。

脱力の大切さはわかっています。力んでいるとヘッドが走らない、スイングが崩れる、それも頭では理解している。なのに、「抜こう」と思った瞬間にかえって力が入る。このもどかしさに長年悩んでいる方が、ゴルフをやっている人の中にはとても多くいます。

実はこれ、意志の力や練習量の問題ではないことが多いです。脱力できない理由には、もう少し根っこのところに原因があります。「力を抜けない」「抜いたら飛ばなくなった」――その両方を一本で整理してみます。

部分で抜こうとするから、どんどん難しくなる

部分で抜こうとするから、どんどん難しくなる

脱力が難しいと感じるとき、多くの方が「肩の力を抜こう」「グリップをゆるめよう」「腕をリラックスさせよう」と、体の一部分に意識を集中させます。

でも、考えてみると不思議な話です。スイング中は全身がダイナミックに動いています。そのさなかに「ここだけ抜く」というのは、走っている電車の中で特定の車両だけ止めようとするようなもの。体にとってはかなり難しい要求です。

肩をゆるめようとすると今度は腕に力が入る。グリップをゆるくすると今度は上半身がふわっとしてしまう。こうして「どこかを抜くと別のどこかが固まる」というサイクルから抜け出せなくなります。脱力しようとすればするほど、体がバラバラに動き始めてしまうのです。

部分で抜こうとするから、脱力はどんどん難しくなる。ダウンスイングや切り返しで特に力みが出やすい方は、このパターンに当てはまっていることが多いです。

「抜こうとしてきた」人ほど、消耗している

脱力に取り組んできた方からよく聞くのが、「とにかく意識し続けることに疲れた」という言葉です。

ダウンスイングに入る瞬間に「抜いて」、切り返しのタイミングで「ゆるめて」、インパクトの直前で「脱力」。こんなに多くのことを瞬時にやろうとすれば、頭がいっぱいになるのも当然です。集中しているはずなのに、いつのまにかスイング全体がぎこちなくなっていた、という経験をした方もいるでしょう。

正攻法でまじめに取り組んできたからこそ疲弊している。その蓄積は本物です。でも、力を抜くためのアプローチを変えると、体の反応が変わってくることがあります。

「どこかを意識して抜く」ではなく、「抜けやすい体の状態を先に作る」という方向に切り替えた方が、楽になったという声もあります。

その順番、逆だったかもしれない

ここで一つ、視点を変えてみてほしいことがあります。

なぜ軸がぶれると力むのか

ゴルフのスイングは、体の中心に軸のような通り道があって、そこを起点に回転が生まれます。その軸がふらついた状態でスイングしようとすると、体はバランスを取るために各所で力を入れて補正しようとします。これが力みの正体の一つです。

部分で抜こうとするのではなく、まず全身の状態を整えることを先にする。それが、このアプローチの核心です。

整うとどう変わるか

全身の軸がすっと整った状態でスイングに入ると、体が余計な補正をしなくて済む分、力みが入りにくくなります。足裏から頭のてっぺんまで一本通ったような感覚、と話す方がいます。「抜こう」と意識しなくても、力が自然に抜けていた、という経験をする方もいます。

意識して抜くのではなく、整った状態から動き出す。この順番の違いが、脱力できるかどうかの分かれ目です。

スイング中の軸の感覚については、こちらの記事もあわせてどうぞ。

スイングの軸がぶれるのはなぜ?体の整え方から考える

「脱力しすぎて飛ばない」も、実は同じところが原因

脱力に関してもう一つよく聞く悩みが、「意識して力を抜いたら、今度は全然飛ばなくなった」というケースです。

これも同じ視点から整理できます。

力みが消えたはずなのに飛ばない場合、グリップやインパクトの瞬間にふわっとゆるみすぎて、ヘッドにうまく力が伝わっていないことがあります。つまり、部分をコントロールしようとした結果、必要な張りまで失ってしまっているのです。

全身の軸が整っていると、余計な力みは抜けながらも、必要なところには自然と張りが生まれやすくなります。「脱力=全部ゆるめる」ではなく、「整った状態から動く」というイメージに近いものです。

力みすぎても飛ばない、力を抜きすぎても飛ばない。その両方の悩みが、同じ一つの根っこから来ている、という見方もできます。飛距離との関係についてはまた別の記事で詳しく触れています。

今すぐ試せる:椅子から立つだけでいい

特別な道具も広い場所も必要ありません。日常の中でできるシンプルな整え方として、こんな感覚を探してみてください。

椅子に座って、すっと立ち上がる動作をゆっくり繰り返す。このとき、「立とう」と思って腕や肩に力を入れるのではなく、体の中心からじわっと起き上がるような感覚を探してみます。最初はうまく感じられなくても、繰り返しているうちに「力まずに立てた」という瞬間が出てきます。

この感覚が、スイングのときの体の整えにつながっていく、と話す方がいます。ゴルフの練習とは別の場所で、軸の感覚を育てておくイメージです。

「脱力できない」という悩みを抱えている方の多くは、スイングの改善に取り組むよりも先に、この整え方の感覚をつかむところから始めると、変化を感じやすくなることがあります。

脱力の考え方全般についてはこちらもどうぞ。

力を抜くとはどういうことか——スポーツ全般での脱力の考え方

練習量を増やすことより前にやることがある、と感じた方は、ぜひ一度試してみてください。力を抜こうとしてきた時間は、無駄ではありません。ただ、アプローチを一つ変えてみる余地があるかもしれません。

体の使い方を体験してみたい方へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました